Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

地球の上の狂騒曲 06

その昔、父がガンを患った時毎日病院に通った。

医者の言うことを聞き漏らさぬためにも

父を勇気付けるためにも私は診察にも毎度付き

合っていた。

 

その診察室で気づいたこと。

 

医者が父の目を見ないのだ。

見ているのはパソコンの画面。

 

そして触診をしない。

患者に触れないのだ。

触れているのはパソコンのマウス。

 

相当忙しい様は見ているだけでもわかった。

でも、その医者が醸し出す雰囲気は

患者に寄り添うものではなかった。

父が不安で質問する事柄についても

患者の目も見ずに、ちょっと面倒くさそうに

答えていた。

 

 

患者の状態っていうのは瞳にも映るし

皮膚の触感や温度にも現れるし

声色にも呼吸にも現れる。

人間の体から発信する情報量はものすごい

量がある。

 

そのため医者は直接患者の体に触れる触診や

たわいもない会話を通じて医者は患者の生活

習慣や状態を読み取る。つまりその病気との

因果関係を想像し、適切な処置をするという

こと。

 

いつしかこうした医者が減っていた。

 

病院の経営上の問題によって本来の医者の職

責や理念みたいなものが失われている。

 

これは私たちライブハウスにも当てはまる問

題だ。

 

そして今日の世の中の問題の核心のような気

もしている。