Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

虹が出た

今回の旅は、2019年10月21日から始まった。

10月21日夕刻、徳島港で三上さんと合流した。

三上さんは、岐阜、吉野、奈良、そして和歌山を経

て徳島までフェリーで移動するというロングトリップ

の行程だった。その旅は、西行の足跡を辿り、その人

生を掘り下げる旅だった。

 

港で合流したのち、私たちはまず徳島は鳴門市に鎮座

する大麻比古神社に向かった。徳島の忌部氏を祀るそ

の重要な神社をお参りし、その後鳴門にあるお遍路の

1番札所でお参り、そして徳島市内に戻り、夕食をと

りながらお互いにあったそれまでの出来事を語り合っ

た。

 

翌日は午前中から忌部神社をお参りし、剣山山頂への

登山。そしてお参り。忌部神社は皇室との関係が深く、

徳島はもとより宮内庁にとっても、この国の神話にと

っても非常に重要な神社であることは言うまでもない。

剣山は空海が最も重んじた霊山で、イスラエルとの関

係も深く、失われたアークがここに眠っているなんて

いう実しやかなお話も枚挙に遑がない。その剣山を下

山する時にはすっかり日が暮れていた。この日は大嘗

祭の日だった。

 

3日目は県南に位置する轟の滝という、龍神を祀る神

社をお参りしその後長い峠道を抜けて那賀町へ。黒滝

寺と言う空海が重んじた龍にまつわるお寺をお参りし

て我が家で1泊。

 

4日目は太龍寺というこれまた空海が19歳の時に山

岳修行を積んだ龍にまつわるお寺を参拝し、リハーサ

ルのため会場に入った。

 

大変濃厚な旅だったが、三上さんの当初の目的であっ

西行を巡る旅は、次第に空海の足跡を辿る旅となっ

ていた。

 

普通、地方での公演などでは前乗りと言って前日に現

地に入り公演を終えるとその足で帰京するか、長くて

も翌日には帰京する。コストを節約する考えが多い昨

今では、乗り打ちと言って公演当日に入り、当日に変

えるなんてことも稀ではない。

 

それに比べて、今回の三上さんの公演は5日前の前乗

り。こんなことはなかなか無い。

 

その分私たちの旅は濃厚な旅になった。

道中不思議な自然現象や、偶然と偶然が重なり合いあ

たかも完璧に予定されていたようにことが進み、全て

の行程がスムーズに組み立てられていった。気のせい

だと言ってしまえばそれまでだが、それだけでは済ま

されない「何か」を感じる旅になった。

 

そして公演前日には出演者のエミ・エレオノーラさん

と我が越路姉妹の越路ファラオが到着し、ハッピーバ

イブスがぐっと上がる。演者が全員揃ったというわけ

だ。

 

そして会場での念入りなリハーサルを終え、ホテルの

近くで楽しい食事を共にして明日に備えて早めの就寝。

ここで一息ホッとする。

 

ライブ当日は予定通りにスムーズにことが進み、しっか

りとリハーサルと準備を重ねた本番の幕が上がった。舞

台装飾は何日も前から準備をしてくれたホールのスタッ

フ(森くん)が素晴らしい装飾を施してくれ、音響スタ

ッフは東京から信頼できるスタッフがオペレーション。

共演者の檜千尋さんは、京女郎という朗読演目の中で見

事な舞を舞ってくれた。

エミさん、ファラオの演奏は頼もしく、見事な調和を醸

し出し、グル―ヴしてゆく。そして何よりかっこよかっ

た。素晴らしいミュージシャンだと惚れ直した瞬間が数

多くあった。三上さんは言うまでもない。

 

そして幸福感に溢れる打ち上げを終え、夜遅くまで宴は

続いた。

 

 

今わたしは徳島から羽田に向かう上空でこのブログを綴

っている。

 

ここ数年で取り組んできた徳島の公演、そして今回のあ

る種特殊な行程でのイベントの中で一つの答えに気付か

された。

 

準備とハートと心の関係。

 

しっかりとした準備をし、心を込めて、強い信頼関係が

あれば目的に近づくことができるのだと。

 

その目的とは

幸せな空間を作ること。

幸せな時間を作ること。

それは、公演に足を運んでくれるお客さん、その公演を

支えてくれるスタッフの皆さん、そして出演者の皆さん

の幸福度が満たされていなければ成立しない。

 

効率や経済だけに気を取られていたらリーチすることの

できない、大切なロジックはつまり、準備とハートと心

の関係なのだ。

当たり前で簡単なことに聞こえるかもしれないが、それ

を最も優先する最重要事項として設定するには時には障

害がたくさんある。時に効率は下がり、時には経済的な

ロスも重なり、時には長い時間がかかる。それらを越え

てでも大事にしなければならないということなのだ。そ

れを重んじなければ目的は達成できない。

 

時間はかかったが数十年かけて確信したこの答え。

その大切な意味に気づかせてくれた全ての人にありがと

うと言いたい。

 

そして物語は続く。

 

わたしは残された時間、誰かの幸せを作りたい。

 

準備とハートと心の関係。

 

こうしたことを大事にした生き方を心がけて生きて

ゆきたい。

 

そんなことを思っていたら虹が出た。

 

円形の珍しい虹。

 

 

 

君に幸せあれ。

 

越路よう子

 

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