Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

あぁ、矛盾だらけの人生よ  

 

4年近く前、私は不殺生の考えの境地に

達しゴキブリも蚊も殺さない秘儀を手に

入れていた。それはもう何年もそうして

いたので達人の域に達していたのだ。

 

ゴキブリを発見したときはゴキブリに声

をかけていた。「ゴキちゃん出てこない

でね〜怖いからね〜見つけると殺しちゃ

うかもしれないから出てこないでね〜」

と。

すると、ゴキブリはそれ以来出てこなく

なったのだ。蚊についても同様だ。「蚊

ちゃぁ〜ん刺さないでね〜刺すとかゆい

からね〜刺すと殺しちゃうかもしれない

からね〜」と。

そうすると不思議と蚊は私の体を刺さず

どこかへ浮遊して消えていった。

「殺しちゃうかもしれないからね〜」と

言う部分が文字に起こすと怖すぎるが、

その行為は心底優しい行為だったのだ。

 

そして徳島県那賀町に移住した時のこ

と。

街灯へ群がる虫たちの姿はまるで粉雪の

ようで美しく、山から聞こえてくる虫たち

の鳴き声に風情を感じながらうっとりして

いたら足に激痛が走った。

ムカデに刺されたのだ。

激痛なんてもんじゃなかった。

死ぬかと思った私は、スリッパでムカデを

叩き潰していた。

 

私は達人の域になんて達していなかったの

だ。

 

 

子供の頃、高倉健南極物語に感動して以

来すっかり健さんフリークになり健さん

画ばかり見るようになった。その後は松田

優作やショーケン の作品を貪るように見て

、男気なるものに憧れていた。音楽の世界

ではブルーススプリングスティーンやトム

ウェイツに憧れ、歌詞の世界にある男のロ

マンのようなものにひたすら痺れていた。

髪型やファッションなども取り入れて男の

中の男を目指していた。

筋の通らないものは気に入らず、ナンパな

連中はチャラチャラしていて大っ嫌いだっ

た。

男に二言は無く、酒で潰れたら負け。酒豪

こそが男のスタイルだと思って気を失うほ

どの量の酒を朝まで飲み続けていた。豪快

な男のスタイルだ。

 

気がついたら私は女装していた。

今ではよう子さんと呼ばれている。

好物はおまんじゅう。

 

 

人生とは思うように進まない。