Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

出羽三山修行の巻 2/2

 

阿波の遊行(CD)のポスターが奈々福さんの

目に止まったということは私にとっては心か

ら嬉しい出来事だった。その知らせを聞き、

すぐにお会いするとなんと奈々福さんは私と

同郷の横浜のご出身で白崎映美さんとも随分

前から交流があったということだった。

 

更に、奈々福さんの師匠は庄内は酒田のご出

身で随分前から酒田には毎年訪れていたのだ

という。この時点で相当なご縁を感じる。

 

このCDをきっかけに私は、白崎映美さんと意

気投合した時のように、すっかり意気投合した。

その後私たちは徳島の滝を一緒に巡ったり、私が

暮らす徳島の那賀町をご案内したり、徳島での浪

曲公演を開催したり、ものすごいスピードで距離

が縮まっていったのだった。

 

そして今回の出羽三山での山伏修行に繋がる。

 

 

今回の旅は、まず早朝便の新幹線で山形の月山の

麓にある志津という街まで向かう。

お昼に到着後、山伏の白装束に着替え月山山頂を

目指し登山。標高1984メートルの登山はまぁ

まぁな登山であるが、一気に山頂を目指した。

夕方に山頂に辿り着き、山小屋で泊まり翌朝早朝

から月山に存在する秘所と呼ばれる神聖なエリア

をまわった。

まわったと言ってもかなりの起伏のある山肌を降

りたり登ったりの繰り返しで、かなりハードロック

な行程だった。その後羽黒山へ向かいお参り。

その晩はビニールシートをかけただけのテントのよ

うな場所で泊まる。昼食も夕飯もお風呂も無いまま

泊まると、翌朝は湯殿山へ向かった。ここは沢登

で、スリッピーな沢を草をかき分け悪路をひたすら

進み最後は滝の淵に浸かって滝行。秋の湯殿山の雪

解け水はほぼ氷水の感覚だった。所々神聖な場所で

は般若心境を唱えてきた。そして沢を下り、お昼に

出発地点の志津へ戻った。

 

こうしてまとめるとあっという間の行程のように思

えるが、それはそれは苛酷な行程だった。

 

ただ、不思議とこれだけの運動量の後に絶食に近い

形で夜を迎えてもぐっすり眠れたのだ。

暗闇の森の中では灯りは手元の携帯電話の灯りしかな

い。その電気を消すと漆黒の闇。テントの中には外界

の様々な音がビンビン伝わってくる。

 

風が右から左へ流れてゆく音。

木々のざわめき。昆虫の足音。

動物の気配。

そんなものが絶え間なく聞こえてくる。

一体その音は何の音なのか?と想像を膨らませる度に

五感が敏感になってゆくのがわかる。寝袋にくるまっ

たまま目を閉じていると、何とも言えない心地良さに

包まれて深い眠りに落ちていったのだった。

 

以前、星野さんというベテラン山伏が書かれた本を読

んだことがある。その本の中で星野さんは、

 

「山は何でも吸い込んでくれるんだ。嫌なことも悲し

い思いも何もかも山は吸い取ってくれるんだよ。だか

ら山に入って山から出ればすっかり元気になる。」

 

そんなことをおっしゃっていた。

その気持ちがちょっとだけわかったような気がした。

私の心は何だか軽く、そしてそれは軽いだけではなく

強烈なエネルギーを注入してくれていたのかもしれな

い。そうじゃなければ連日あれだけの長時間崖のよう

な山肌を上ったり降りたりして、ろくに食事もとらな

いまま、本来ならぐったりしているわけでましてや元

気になるはずがない。

 

私はすっかり気持ちも軽やかになり、清々しい気持ち

で元気いっぱいだ。筋肉痛はあるものの、心も体も以

前よりずっと元気だ。きっと浄化していただいたのだ

ろう。ドロドロに汚れた油まみれのキッチンのファン

を、プロのお掃除隊がピカピカに掃除してくれるよう

に私の心や魂のようなものにこびりついた汚れをさっ

ぱり落としてくれたのかもしれない。

 

あんなにきつい行程だったのに、私はまたやりたいと

思っている。

 

我ながら信じられない。

 

まだ数日しか経っていないのに、

またやりたいと思っているのだ。

 

そうだ。またやろっと。

 

日々の暮らしの中で苦しんでいる人がいるならば私

は自信を持ってオススメしたい。

山伏修行、とっても有効です。

想像以上に救われますよ★

 

最後になりますが、玉川奈々福さんがいなかったら

私はこの経験ができなかったわけで奈々福さんには

この場を借りて心からお礼を申し上げたいと思っています。

深謝。

 

そしてみなさん、ぜひ山へ!

オススメです★

 

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