Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

白崎映美とキャバレー白ばら

白崎映美とは、言わずと知れた上々颱風のメインヴォーカリストである。

上々颱風は日本の音楽史に残るバンド。

JALの沖縄キャンペーンソングの大ヒットから始まり、ジブリ映画平成狸合戦ぽんぽこサウンドトラックや、夜逃げ屋本舗の主題歌などを手がけ、日本国内はもとより海外公演も多数、おまけにシンディーローパーのアルバムに2曲参加するなどその活動はワールドワイドでユニークで唯一無二の存在だった。

 

詳しくは→http://www.shangshang.jp/shang.html

 

そんな白崎映美さんとなぜか親しくさせていただいている。

 

私が映美さんと出会ったのはずいぶん昔のことだが、サックス奏者の梅津和時さんからの紹介だった気がする。

 

その頃私は山形県日本海側にある庄内地方というエリアにはまっていた。出羽三山と呼ばれる神聖な山々や、鳥海山という雄大な山、そして最上川庄内平野、美しい夕陽に北前船黒川能、黒森歌舞伎、死ぬほど美味しいごはん(ちなみに空港名は“庄内おいしい空港”)、酒田ラーメン、、、とにかく自然も文化も歴史も何もかもが私にとっては魅力そのものだった。これは今でも変わらない。

 

とにかく庄内に対する私の熱量は相当な熱量なので、方々で庄内の魅力について語り、何度もこの地を訪れこの地の豊潤な魅力を思いっきり吸い込んできたのだ。

 

白崎映美さんが庄内は酒田の出身だったことは、出会って間もなくして知ることになる。

その時の驚きは大きなものだった。映美さんは沖縄出身だと思い込んでいたのだ。

なんの根拠もなく、CMのイメージだけでそう思っていた。

 

映美さんが酒田出身だと知った時は嬉しかった。 ひたすら嬉しかった。

それをきっかけに急速に私は映美さんと距離が縮まる。

簡単にいうとこんないきさつで映美さんと私の関係は始まる。

 

その後は色々なイベントでご一緒することになり、映美さん主催のイベントにも何度も呼んでいただくこととなった。

そんな活動の中の一つに「白ばらプロジェクト」というものがある。

上々颱風の活動が休止後、映美さんは二つのプロジェクトを始める。

 

2つ共、かの震災の後に立ち上げた白崎映美の渾身のプロジェクトだ。

 

一つは東北6県ろ〜るショー!!

かつて”まづろわぬ民”(従順でない、迎合しない、という意)と呼ばれた東北人スピリッツを胸に抱き、東北を想う濃厚な音楽家、役者、美術家、東北伝統芸能に、小説家や神様や妖怪も引き連れて「東北さいい事いっぺ来い来い来〜い!」と歌う東北6県とロックンロールを文字ったスーパーエンターテイメントバンドだ。

 

もう一つは映美さんの故郷酒田にあった「白ばら」というキャバレーを復興させようと立ち上げた白崎映美と白ばらボーイズ。

 

今回はこの白ばらボーイズにつていて語りたい。

 

このバンドは、3人の役者と4人のミュージシャン、そして白崎映美さんの8人で構成される。

 

役者さんは元自由劇場の個性あふれる愉快なみなさんだ。

自由劇場とは吉田日出子さんが立ち上げた伝説的なアングラ劇団。

ここからは笹野高史さんや余貴美子さん、斉藤暁さん、そして小日向文さんなど錚々たる役者を輩出している。だが、なぜこうした劇団の役者さんが白ばらボーイズにミュージシャンとして入っているかというとこうした理由があった。

この劇団の代表作である上海バンスキングで役者の皆さんが生演奏を強いられ、猛特訓の結果演奏が上手くなっちゃたという、雑に説明すればそんな経緯があったのだ。

彼らは演奏はもとよりステージ上での大道芸やマジックなどその芸の幅は音楽家がなせる技ではなくとにかく質が高くて面白い。白ばらキャバレーショーにはもってこいのキャスティングだったのだ。(Vn.片岡正二郎、Tp.内田伸一郎、Sax.小西康久)

 

そしてそれを支えるミュージシャンは、ニューオリンズ系のピアニストで星野源さんやアンサリーさんなどのサポートをする小林創さん、そして沢田研二さんなど数多くのアーティストをサポートするドラマーの熊谷太輔さん、そして一流ジャズベーシストの田野重松さん、トロンボーン奏者の花島英三郎さんといった強者が揃っている。(こんなバンドなかなか無いよな、、、、。)

 

そのどれもこれもが白崎映美さんの圧倒的な人脈とその人望で集まっている。

 

補足で説明すると映美さんは上々颱風の前に自由劇場の後身?である東京乾電池に一時期在籍する。柄本明主宰のこの劇団には高田純次ベンガル綾田俊樹などが在籍する超人気劇団だったのだが映美さんはあっという間にこの劇団を辞めその後雑誌のメンバー募集を見て応募して入ったのが上々颱風(正確にはその前身のひまわりシスターズ)だったのだ。

そんな縁もあって白崎映美さんの人脈は曼荼羅図のように複雑に多岐に交差している。

 

 

話しを白ばらボーイズに戻そう。

 

そんなステキな白ばらボーイズのイベントに何度か越路よう子として呼んでいただくことが続いた。私の庄内愛がここでリンクしたのだ。

映美さんの考えていること、映美さんの思い、映美さんの表現、そんなものがこの取り組みの中で私の中にじわじわっと染み込んでいく。気がつくと私は準々レギュラーくらいの存在になっていた。私にとっては楽しくも幸せなことだった。

 

そんな活動の中で、ふと気づく。

白ばらボーイズ、音源が無いなと。

この魅力をみなさんに伝えるにはライヴだけでは限界がある。

音源が無いとPVも作れない、、、

 

そうだ!レコーディングしよう!

と、どこかの鉄道会社のコピーのようなノリで私は映美さんに宣言した。

それが今回のレコーディングへの前段のお話しなのでした。

 

今回収録する曲はエディットピアフ によって広められた「群衆」という曲を映美さんが酒田弁で歌う。そしてカップリング曲は上々颱風時代の愉快で陽気なピンクのチャリンコというヴィンテージブルースナンバー。どちらも明るく楽しい気持ちになるステキな楽曲だ。

ぜひ楽しんでお聞きいただきたい。

 

その収録が先日終わった。(笑い声が絶えない現場だった。)

あとはミックスとマスタリング。

みなさんの元にお届けできるのは夏頃だろうか。

8月末には代官山晴れたら空に豆まいてにてレコ発パーティーも予定されている。

PV作ったりリミックス盤作ったり色々始まる。

この辺りははっきりと情報が確定したら改めてお知らせしたと思う。

 

白ばらボーイズ。

元気と笑いと愛をたっぷり詰め込んだデビューシングル??

ぜひお楽しみに★

 

 

愛を込めて。

 

 

越路よう子