Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

純喫茶が好き

恵比寿ガーデンプレイスで税金関係のお堅い仕事を

終えた。帰り道のスカイウォークを歩いていると、

オシャレなデリの店が並んでいた。

そこに全身黒ずくめでキメた若い女性。

身長は170センチを優に超える長髪のモデルのよ

うな女性がフルーツサンドを買っていた。その隣に

はものすごくミニサイズで、身長100センチくら

いの腰が曲がったシワクチャなおばあちゃんが同時

にフルーツサンドを買っている。

 

女性の味覚の嗜好は年齢とは比例しない。

よう子の人間調査報告書にアップ。

そんなことを思いつつわたしは足早にそこを通り過

ぎた。

 

朝からちょっと窮屈な仕事だったのでわたしはいつ

もの場所へ向かった。恵比寿に来たときは、ここ以

外にはほとんど立ち寄らない。

「喫茶銀座」だ。

f:id:koshijiyoko:20200131150153j:plain

喫茶銀座

 

ここでゆっくりタバコの煙を燻らせながらコーヒー

を飲んで本を読むのがわたしの癒しの時間。分煙

んてケチな事は言わず、どの席でもゆったりできる。

店のドアを開けるとザ・ドリフターズアメリカの

バンドの方)の「ラストダンスは私に」が静かに流

れていて、ほのかに私を歓迎してくれた。

隣の席の女性は彫りが深く綺麗な中年女性で小説を片

手に、けだるそうに箸でゆっくりとハンバーグをつ

まんで口元へ運んでいる。

反対側の男性は30代くらいの青年で丸坊主に無精

髭をはやしナポリタンを美味しそうに食べている。

時々「ゾゾゾッ」っと音を立てながらざるそばを食

べるようにすすっている。

私はアイスコーヒーを頼んで椅子に深く沈み込んだ。

 

この喫茶店のウェイトレスのお姉ちゃんがなかなか

良い。店内はランチタイムで混み合っている。

お姉ちゃんは、夜はDJをやっているらしい。

店に貼ってあるフライヤーにそれらしきことが書い

てあった。

 昼間の時間はこの純喫茶でテキパキとそつなくお客

さんをさばいている。

「生姜焼き変更でハンバーグ定食―っ!」とか「ナッ

ポリッターン!」とかキレのあるハスキーヴォイスで

カウンターのお母さんに向かって叫ぶ。

立ち姿は腰をくねらせて気怠そうだが、仕事の要領は

そつがない。うっすらとモンローウォークで店内をぐ

るぐる回っている。空いているお皿やグラスなどがあ

ると、まるでカメレオンが長い舌でハエを捉えるよう

に「シュッシュッ」っと見事なお手前で下げてゆく。

 

見惚れるぜ。

 

わたしはアイスコーヒーを飲み干すと、心の中で「お

見事」と呟きながら会計を済ませ、レトロなドアを開

けて外へ出た。

 

あぁ今日も東京の空は曇り空。

なんだか今日は良い曲が書けそうだ。