Koshiji Yoko

越路姉妹の越路よう子が日々思うことを綴ります。

今年の越路おさめ★

仙台に来ている。

昨日の仙台公演がわたしにとっての歌いおさめとい

うことになった。会場はラブミー牧場という42年

の歴史を持つ老舗のお店。わたしは、かの大震災が

きっかけでこのお店に出演させていただくこととな

った。マスターはいかりや長介に似ているのでイカ

長先輩と呼んでいる。

 

震災後大変な苦労を乗り越えた矢先、数十年続けて

きたお店はビルの耐震補強の理由で立ち退きを命じ

られる。すっかり肩を落としたイカ長先輩を元気付

けるために閉店直前、最後の演奏をさせていただく

ために仙台に駆けつけた。その1年後、ラブミー牧

場は場所を移して復活する。心から嬉しかった私た

ちは再出発するラブミー牧場でこけらおとしのライ

ブ演奏をさせていただいた。

この時、わたしはイカ長先輩を不死身の男と呼んだ。

 

そして月日は流れ、今年イカ長先輩に悲劇が襲う。

奥様が急死されたのだ。

そしてその直後にイカ長先輩に肺がんが見つかる。

その上経営不振で家賃の滞納が、、、、、

泣きっ面にハチどころではない。

 

しかし、幾重もの苦難を乗り越えてきたイカ長先輩だ。

不死身の男が倒れるはずがない。

そう思いつつもわたしはいてもたってもいられなくな

って、ありったけの漢方薬を手に仙台に出向き元気付

けようとした。すると、そこで告白されたのはまさか

の年内閉店。時は10月末のこと。あと2ヶ月しかな

い。しかしあまりにも問題が大きすぎて投げかける言

葉が見つからない。ただただ悲しいやら悔しいやらや

りきれぬ思いを抱えながら、せめて演奏をさせてもら

いたいとお願いした。越路姉妹のメンバーのスケジュ

ールを急遽調整し私たちは閉店直前の12月28日に

ライブを敢行することを決めた。

今までの思い出を詰め込んだ新しい曲も作った。

いよいよ閉店だ。しっかりと準備をして間違いがない

ように出発直前に確認の電話を入れた。

 

するとイカ長先輩から意外な報告が。

お店が継続になったという報告だった。

閉店ギリギリで救世主が現れたのだ。

イカ長先輩は経営からは退くものの、店名、スタッフ

共にそのままで、イカ長先輩もそこで働くことが出来

るというお知らせだった。

 

何という奇跡!

嬉しくて嬉しくて飛び上がりそうだった。

 

急遽私たちは楽曲のセットリストを変え、希望に溢れ

る一夜を演出するために心を込めて演奏をした。爆笑

の夜だった。

 

全ては良きことになりました。

というわけで明るい気持ちで1年の演奏活動を締めく

くることができた。

 

 

ただ私たち、閉店演奏1回、こけら落とし演奏1回、

閉店演奏2回目を終え、来年こけら落とし演奏をす

ることになるかもしれない。

次の閉店演奏は、地球が終わる時かもしれない。

 

恐るべし不死身の男。

 

「だめだこりゃ、次行ってみよー!」

を地で行く男。

 

ラブミー牧場存続物語、めでたいコメディとして締

めくくれました★

 

 

そしてわたしは仙台でポツリと一人で年末の時間を

過ごしている。

 

 

 

帰ろっかな!

 

 

 

 

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ラブミー牧場での演奏風景